株主・投資家情報

投資家のみなさまへ

 はじめに、2024年3月に発生しました当社への不正アクセスに伴い、一時的な業務の停止が発生し、2024年3月期の業績への影響が発生する等、皆様にご迷惑とご心配をおかけいたしましたことにお詫びを申し上げます。今回のシステム障害は、悪意のある第三者により、当社のシステムが攻撃を受けたことによるものです。
 幸いにして、当社がお客様にご提供しております商用ネットワーク(本番環境)については社内ネットワークと別構成であったため、外部専門調査会社によるフォレンジック調査の範囲において、「本番環境に侵入された形跡は存在せず、インシデント発生の事実はない」との調査報告を受けていますが、このような事態を今後、絶対に発生させないために、外部専門家の助言を受け、より高度なセキュリティツールの導入や社内運用の見直しを行いました。これらの取り組みは今後も継続して行ってまいります。

 2024年3月期においては、2度の業績予想修正を出す結果となりました。
 1度目は2023年12月で、当初の業績予想を下方修正いたしました。この修正の主な要因は、音声認識事業における音声収録に関する業務をはじめとする受託業務の受注の減少及びデジタルマーケティング事業で計画していた新規のお客様への売上高の減少によるものでした。2度目は2024年4月で、3月に発生した不正アクセスの影響を受け、デジタルマーケティング事業の売上高の計上が、一部4月以降に延伸されること、また、調査・復旧のために開発人員の稼働率が低下したこと等が要因でした。
 同年度内に、2度の業績予想修正を出す結果となり、株主の皆様のご期待にお応えできませんでしたこと、重ねてお詫びを申し上げます。

 2024年3月期は、当初計画していた音声収録に関する受託業務の売上高が前年同期を下回りましたため、売上高は前年同期比で大きく減少いたしましたが、外注費の減少等により利益への影響は軽微でした。今後は、このように年度によって受注金額が大きく変動する確率の高い受託業務の売上比率を下げ、音声認識とその周辺技術、そして新しく「vGate Aispect™ 音のAI検査」を加えた自社技術のライセンス及びそのカスタマイズによる売上比率を上げていくことに注力してまいります。
 デジタルマーケティング事業の売上高は前年同期とほぼ同等でしたが、開発費の減少等により営業損失は前年同期より改善いたしました。
 デジタルマーケティング事業の課題は、利益率の向上であると考えております。
 受注に関しては、新規の引き合いも多く、定期的に新規の受注につながっています。一方で外注にかかる費用や諸物価・諸費用等の上昇により、Visionaryのサービス提供コストは数年にわたり増加し続けておりました。当社では、事業収益改善のため、業務の効率化等によるコストダウンに努める等、企業努力を行ってまいりましたが、このような外部環境が続く中、当社の企業努力だけで従来の価格を維持することは難しく、2024年からは全てのお客様に対して、これまで据え置いておりましたVisionary利用料の価格改定をお願いしました。価格改定は2024年4月より順次実施されています。また、これまで開発を続けてきたVisionary Cloudについては、2025年3月期からは拡販体制に移行し、追加機能開発に関する費用は従来よりも縮小してまいります。これにより、事業部全体での開発効率の向上と売上・利益の最大化を図ってまいります。

 最後に、2024年5月14日に発表いたしました通り、当社は株式会社エーアイ(以下、エーアイ社)との経営統合をいたします。
 エーアイ社は、音声合成エンジン及び関連するソリューションを提供している会社です。
 エーアイ社とは、2023年5月に資本業務提携契約を締結し、翌6月にはエーアイ社は当社の筆頭株主となられました。その後、両社共同で開発、営業、経営に関するプロジェクトを立ち上げ活動してきた結果、両社の技術の融合による事業領域の拡大(音声関連技術)や、技術力・営業力の強化、開発の効率化、組織のスリム化等による管理コストの削減を目的として両社を統合することで、早期に両社の企業価値向上を実現することができると判断いたしました。
 両社の資本関係により、当社が吸収合併消滅会社、エーアイ社が吸収合併存続会社となり、2024年10月1日に合併する予定です。それに伴い、当社は9月27日付けで上場廃止となる予定です。
 フュートレックは、2000年に設立され、2005年に当時のマザーズ市場に上場しました。
 皆様のこれまでのご支援に改めて感謝を申し上げます。

 2024年10月1日からは、合併により新たに誕生する新生「株式会社エーアイ」に引き続きご支援を賜りたく、なにとぞよろしくお願い申し上げます。




2024年6月
代表取締役社長
西田 明弘